初期のむし歯は自覚症状があることが稀です。検査をして初めてわかる程度です。
むし歯が痛み出したころにはすでにある程度進行していることがほとんどで、場所によっては、肉眼で見てもわかるようになります。
もっとむし歯が進行すると、何もしていなくてもズキズキと痛むようになります。
これぐらいむし歯が進行した場合、そのまま放置される方はまずいらっしゃらないのですが、そのまま放っておいた場合、最終的には歯を抜かなければならなくなります。
むし歯は早めに治療する事が大切です。おかしいなと思ったら、
なるべく早めに杉デンタルクリニックまでご相談ください。
こんな症状ありませんか?
次に挙げるような症状が認められる場合は、むし歯が疑われます。
- 歯の白いシミがある
(=初期のむし歯) - 歯に黒ずみが認められる
- 食べ物がはさまりやすい
- 歯の表面に穴があいている
- 子どもの歯医者を探している
- 冷たい水や甘い物がしみる
- 歯がズキズキと痛む
むし歯のメカニズム
むし歯って何??
むし歯とは、細菌が糖分を利用して酸をつくり、その酸によって歯が溶かされる病気です。
どうしてむし歯になるの??
むし歯は感染症
食べ物や唾液を介してお口の中に定着します。
実は、生まれたばかりの赤ちゃんには、むし歯の菌はありません。
口移しなど、大人の口を介して移ります。
むし歯は生活習慣病
毎日のブラッシングの習慣の結果です。
むし歯は食習慣の影響を非常に受けやすいため、食事回数にも注意が必要です。
むし歯は多因子性の疾患
むし歯は多因子性の疾患で、個人によってリスクは異なります。
その為、むし歯になり易い人、なりにくい人が存在します。
個人に合わせたリスクコントロールにより、効果的な予防が期待できます。
考えられる要因
むし歯の原因には、3つあります。
細菌、食べ物、歯質の3つの要素に時間の経過が加わってできると言われています。
原因1細菌(ミュータンス菌)
ミュータンス菌は約1μm(1/1000mm)の球状の菌です。
歯垢(プラーク)となって歯の表面に付着し、糖質から酸を作り出します。
その酸が、歯の成分であるカルシウムやリンを溶かして歯をもろく、スカスカにしてしまいます。
ご家庭での歯みがきや、歯科医院でのプラーク除去。
菌の活動をおさえるキシリトールやフッ化物の使用などが効果的です。
原因2食べ物
食べ物に含まれている糖質(特に砂糖)は、ミュータンス菌が酸を作る材料に使われます。
間食が多い人や、キャンディーやドリンクなど甘いものをよく摂る習慣のある人は、歯の表面が酸にさらされる時間が長いため、むし歯になりやすくなります。
食べる量よりも食べている時間が長い方がむし歯になりやすいので、ダラダラ食べはやめましょう。
原因3歯の質
歯が作られる時の環境の違いなどで個人差がありますが、エナメル質や象牙質の状況(=歯の質)によって、むし歯になりやすい人もいます。
特に乳歯や永久歯が生えたばかりの子どもは注意が必要です。
丈夫な歯を育てるためには、歯の土台を作る良質なタンパク質、歯の再石灰化のために必要なカルシウムやリン、また、これらがうまく働くためのビタミン(A、C、D)などの栄養素が必要です。バランスの良い食事を心がけましょう。
フッ化物を使った歯質強化。よく噛んで唾液の分泌を促進。歯科医院でのシーラントによる予防などが効果的です。
むし歯の進行
「むし歯があるみたいだけど、まだ大丈夫」と勝手に判断して放ってはいませんか?
むし歯の状態は、目に見える範囲以上に広がっている場合があります。
あなたの歯がどの状態か、簡単に確認してみましょう。
0初期むし歯(CO)
※治療の必要はありません
まだ歯に穴はあいていないが、表面が溶かされてツヤがなくなり、白く濁って見えたり薄い茶色になったりします。
- 症状
- 痛みなどの自覚症状はありません。
※この初期むし歯の状態であれば、「再石灰化」によって健康な歯に戻すことができます。再石灰化を促進するフッ素配合ハミガキ剤や定期的なフッ素塗布で健康な歯を保ちましょう。
1エナメル質のむし歯(C1)
歯の表面(エナメル質)の限られた狭い範囲に穴ができている状態。
- 症状
- 痛みやしみる感じはない。
2象牙質まで進んだむし歯(C2)
むし歯が歯の内部に広がり、象牙質まで進んだ状態。
- 症状
- 冷たい飲食物で痛みを感じる。
3神経まで進んだむし歯(C3)
むし歯が神経(歯髄)まで進んでいる状態。
表面の穴は必ずしも大きくなく、内部で広がっていることがある。
- 症状
- 激しい痛みがある。
4歯根だけ残ったむし歯(C4)
歯冠部(歯ぐき〈歯肉〉から上の見える部分)がほとんど崩壊し、歯根だけ残った状態。
- 症状
- 神経(歯髄)が死んでしまい、痛みを感じなくなる。
※神経(歯髄)が露出し、細菌に感染すると、根の先に膿が溜まったり、痛みが起こったりすることがある。放置すると全身の健康を害する病巣となるが、この状態になると治療は困難になり、通常は歯を抜くことになる。
ステファンカーブ
1940年にStephanがヒトの歯垢のpH変化を最初に測定した。プラーク中のpHの変化を表したものをステファンカーブといいます。
プラーク中に存在する細菌が口腔内の糖を分解して酸をつくります。
その酸により口腔内のpHは急激に低くなりますが、唾液の緩衝作用によって徐々にもとの状態に回復します。
このpH変化は、飲食物の炭水化物、プラーク中の細菌の種類及び量、唾液の分泌速度と緩衝能に大きく影響されます。とくにpHの回復に唾液は非常に重要な働きをしています。
口腔内においてpHの低い状態が一時的なものであれば、唾液緩衝能により酸性から中性域に戻り再石灰化が起こりむし歯にはなりません。
間食をしたり飲食を続けていると、口腔内ではpHの低い状態が続き、再石灰化の生じる時間がなく初期むし歯が発生してしまいます。
トゥースウェア
「Tooth Wear」を普通に訳すと
「Tooth」は「歯」で「Wear」は「衣服」となるので歯にカバーをするのかな?と思うのですが、
「Wear」には「摩耗」や「磨耗」などの意味もあり、
歯が欠けたり溶けたりすることをあらわしています。
症状
むし歯でもないのに歯が欠けたり溶けたりするので軽度であれば本人は何も感じないことが多くほとんどの人に見られます。
まだまだ一般認識は薄いのが実情で どこから疾患とするかも本人の認識や担当歯科医の診断によります。
歯が磨り減りかみ合わせの面が平らになったり陥凹したりするのが特徴ですが歯の側面(根 元)も陥凹したりするともはや歯の原型は失われてしまいます。
ひどくなると痛みなどの症状が出て神経の治療が必要となることがあります。
最初は軽度であっ ても進行すると知覚過敏やかみ合わせの変調を来たし非常に厄介な治療をしなければならない事もあります。
原因
1咬耗
噛みあわせによって歯と歯が接触することで磨り減る事をいいますが、異常な歯ぎしりや噛みしめによって咬耗は助長される傾向にあります。
さらに激しい接触があれば歯が欠けたりもします。
2摩耗
歯みがきの時の歯ブラシの毛先の圧力が強く片寄っていたり、練り歯磨きの研磨剤などで歯が磨り減る事をいいます。
3酸蝕
PHの低い酸性の飲食物が多いなどの食生活環境が起因します。
嘔吐による胃内容物の逆流でも歯が溶けます。
摂食障害など医科的対応も必要となることがあります。
酸性ガスの出る職場環境も無視できません。
根管治療について
重症化したむし歯では「根管治療」が必要となります。
むし歯菌に侵された歯の神経を取り除き、根管内をきれいに清掃する処置です。
根管はとても細く、暗く、複雑な構造となっており、極めて繊細な処置が求められます。
一般的なむし歯治療よりも難易度が高く、治療期間も長くなる傾向にあります。